1 世界海運市況


  45年の世界経済は,先進国の根強いコストインフレの持続,米英両国経済の停滞および年後半からの欧州大陸諸国の景気鎮静化を反映し,44年に比べてかなり落着き気味に推移した。
  45年の世界貿易額は,世界経済の停滞が浸透した年後半から増勢が鈍化したものの,年間を通しては,前年とほぼ同程度の増勢を堅持し,輸出(F.O.B建)において2,779億ドルと44年に比べて14.4%の伸びを示した。
  一方,45年の海運市況は,わが国鉄鋼業の発展に伴う原材料需要のめざましい増勢と世界的な石油需要の増大からスエズブームに次ぐブームを現出した。
  不定期船市況は44年末から上昇に転じ45年2月から急騰し,10月まで高原状態で推移し,11月から急激な下落に転じた。ノルウエイジヤンシツピングニユーズの運賃指数でみると,45年の年平均は119.4と44年を34.2ポイント上回つた。
  油送船市況は,44年年央から上昇傾向をたどり,45年を通じて高水準に推移し,ノルウエイジヤンシツピングニユーズの油送船運賃指数(インタスケールFlat=100)でみると,45年は,月を追う毎に高騰し,10月には今回のブームの最高値の260.4を示し,11月から急落に転じたものの,年平身は178.3と44年を91.1ポイント上回つた。
  つぎに,定期船の運賃は,船舶の自動化,近代化を進めているものの,人件費,燃料費および港湾経費等の諸経費が異常な高騰を示したことにより世界的な値上がり傾向にある。
  日本関係の定期船運賃同盟についても,45年において,北米西岸航路では往航9.2%,復航6〜8%,北米東岸航路では往航7.5%,復航6〜8%,アフリカ航路では往航5%,復航10%,中南米カリブ海航路では往航5〜10%などの運賃値上げが行なわれた。また,燃料油の値上がりがとくに著しいため,バンカー・サーチヤージを徴収している同盟もある。


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