3 国際海運会議の動向


(1) 先進12カ国海運閣僚会議

  海運閣僚会議は,先進12カ国(ベルギー,デンマーク,フインランド,フランス,ドイツ,ギリシア,イタリア,日本,オランダ,ノルウエー,スウエーデン,イギリス)の海運担当大臣で構成されており,米国の国際海運に対する規制問題や最近UNCTAD(国連貿易開発会議)等から提起される海運問題等について,先進海運国間の意見を調整する場となつている。
  海運閣僚会議東京会議は,46年2月2,3日の両日開催されたが,この会議では,@自国船優先政策等のまん延を阻止する共同の努力を継続する方,発展途上国の自国商船隊育成に対する熱望に対して,発展途上国に対する技術経済援助を促進すること,A海運同盟問題について,従来,全く自国な活動が許されてきた同盟に,その同盟活動の基本原則を定めた同盟憲章を作成させ,これによりみずからを自己規制させること,B米国との協議を続けるよう努力すること等の方針を決定した。
  なお,次回会議は47年秋にヘ一グで開催する予定である。

(2) 国連貿易開発会議(UNCTAD)

 (イ) UNCTAD第2回国際海運立法部会

      46年2月ジユネーブで開催された本部会では,1924年船荷証券ブラツセル条約および1968年議定書(ヘーグ,ウイズビイ規則)に基づく,現行の船荷証券(B/L)制度を発展途上国側の利害とい側面から検討し,この条約および議定書には不明確な点が多いとし,@荷物に関する海上運送人の責任区間のあり方,A荷物に対する権利・義務と免責のあり方,B裁判管轄問題等9項目について問題点を指摘して,UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)での法的側面からの検討を要請し,次回には海運同盟憲章問題を含めて海運慣行の問題を扱うことを決定した。

 (ロ) UNCTAD第5回海運委員会

      この第5回海運委員会は46年3月〜4月ジユネーブで開催され,次の4つの決議を行なつたほか,@発展途上国が新・中古船を取得する財政援助の問題,A荷主と船主の協議機構,海運慣行,運賃問題の2つの問題を審議したが,結論が得られず,47年4〜5月の第3回UNCTAD会議(総会)にもちこすことになつた。
     @ 港湾の開発,改善(港湾統計)港湾関係機関が,港湾資料の選択,収集,表示の標準的な方法を採用するよう協力を要請している。
     A 海運委員会の取扱うべき事項およびUNCTAD関連決議に照らした海運問題の現状と長期的傾向の検討開発途上国の経済開発を目的とした第2次国連開発10年の目標に向つて,加盟国政府(海運同盟,荷主協議を含む。)が十分努力するとともに,最近の運賃率上昇の傾向はこの目的達成を障害するので,輸送コストと運賃率の低減を図る努力をするよう要請しており,また,これに基づいて加盟国がとつた措置について第3回UNCTAD会議に報告するよう要求している。
     B 海運における技術進歩(物品の鼠際複合運送に関する条約(TCM条約)案の経済的意義)
      後述の国際複合運送に関する諸条約会議で採択が予定されている複合運送(TCM)条約の作成にあたつて,この会議の開催期日を阻害することなく,発展途上国の経済的影響を十分するよう要請している。
     C 雲際海運立法
      UNCTAD第2回国際海運立法部会が決議した2つの決議(B/L問題および海運同盟憲章に関する次回審議問題)を支持し,B/L問題についてUNCITRALの検討を要請し,その結果を報告するよう要請している。


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