2 標準運賃の改訂
46年3月末現在,内航海運業者(許可業者)は 〔II−(I)−16表〕のとおり1万2,022業者で,うち内航運送業者は1,188業者である。
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内航海運企業はいぜんとして中小企業が多く,内航運送業においても 〔II−(I)−17表〕のとおり資本金5,000万円未満の業者が87%を占めており,逆に資本金5,000万円以上の業者によつて,内航船腹量の過半数が支配されている状況である。
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また,内航海運業の経営内容については 〔II−(I)−18表〕のとおり,他産業に比べて負債比率,総資本収益率,従業員1人当たり売上高等がきわめて低位にあり,`その企業基盤の脆弱さがうかがわれる。
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内航海運にあつては実行運賃の指標として標準運賃を国が告示するという制度がとられているが,この標準運賃は重油,鉄鋼,石炭の3品目,7航路について41年に設定されて以来5年間もすえ置かれてきた。これは,標準運賃が,事実上最高運賃的に機能しており,調整運賃,契約運賃との間に格差があつたこと,および,経費の上昇分を船舶の大型化,専用船化,自動化等の企業努力により吸収してきたことによるものであつた。しかし,ここ2,3年,船価の上昇,船員費をはじめとする人件費の高騰等諸経費が上昇しており,さらに廃油処理の義務付けによる回転率の低下,満載喫水線規則による積荷制限といつた公害防止上,安全上の新しい負担も加わつて,経営内容が悪化し,企業の合理化努力も限界に達したため,46年5月,5年ぶりに, 〔II−(I)−19表〕のとおり,標準運賃を改訂した。
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今後,改訂標準運賃を指標として,調整運賃,契約運賃の改訂が実施されよう。
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