3 近代化船の整備
最近の拡大し,高度化する輸送需要に対処して,内航海運は船舶の近代化を図つてきた。まず,船舶の大型化であるが,平均船型は 〔II−(I)−21表〕のとおり大型化する傾向にあり,とくにかつての木船が小型鋼船化するのに伴つての大型化が顕著である。
また専用船化の進展にも著しいものがある。最も原初的な専用船である油送船をはじめとして,セメント,石灰石,LPG等の専用船化が進んでおり, 〔II−(I)−22図〕のとおり,46年3月末現在,全内航船腹量に占める専用船船腹量の比率は50%を越えており,専用船による輸送量は,全内航輸送量の60%を占めている。
このような鉱工業原材料,製品輸送分野での専用船化ばかりでなく,雑貨輸送の分野においても,コンテナ船,ロールオンロールオフ船等も出現しており,荷役時間短縮による回転効率の同上,陸上輸送との協同一貫輸送の努力を進めている。
船舶整備公団は,従来から船主との共有建造方式による近代化船の新造(一定の老朽船の解撤等を条件とする。)および既存船の近代化船への改造のための融資等を行なつてきており,船舶の近代化に重要な役割を果たしている。なお,45年度には内航船53隻,内外航船5隻の新船を建造した。また,従来,改造融資の対象は公団共有船に限定されていたが,46年度からは,公団共有船以外の内航船にまでこれを拡大することとした。
このような船舶の近代化も,従来は,個々の船主と個々の造船所によつて進められてきたが,今後は,たとえば,船舶整備公団において,共有船を一括発注することにより,同型船の量産化を図り,大量生産による合理化メリツトをうみ出すことを検討する必要がある。またこれにより従来進めてきた船舶の自動化もさらに進展することが期待される。
今後の内航海運は,従来以上にその重要性を増すものと考えられるが,このような事態に対応するため基幹産業物資を低廉かつ効率的に輸送するため,専用船化等船舶の近代化を進める一方,内航海運企業の安定的な経営,荷主との協調体制の確立等を図つていくことが要請されよう。
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