1 海洋汚染防止法施行上の問題点


  海洋汚染防止法は主として船舶および海洋施設からの油または廃棄物の排出を現制することを目的としているが,海洋の汚染源は,船舶および海洋施設からの汚染物質だけではない。都市下水,工場排水等の陸域からの汚染源による影響も相当ある。
  また,海洋は全地球にまたがるものであり,海洋の汚染対策は一国だけで解決できる問題ではなく,国際的な規制が必要とされるところである。
  このように,海洋汚染防止は本注のみで達成できるものではないが,年10万トンをこえると推定される船舶からの油の排出,550万トンに達する産業廃棄物および500万klをこえるし尿の海洋投棄等について規制が強化され,または,新たに制約が加えられる結果,かなりの効果が期待できよう。また,国際的にも海洋国家たるわが国が世界に率先して海洋汚染防止に対する積極的な姿勢を示すことは,海洋汚染に対する国際的世論を喚起するうえできわめて重要な役割を果たすものであると考えられる。


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