2 国際運賃の動向
46年の海運市況は,前年のブームと打つて変わつて急落を演じ,46年平均では,ノルウエージヤン・シツピング・ニユーズ誌の運賃指数でタンカー運賃は107.2(45年196.1),不定期船運賃は81.1(45年119.4)といずれも前年を大幅に下回つた。
46年のタンカー市況は世界的な景気後退,欧州の暖冬異変などによつて石油需要が著しく鈍化したため,前年の石油供給不足状態が一転して,供給過剰となり,これがタンカー市況を急落させた大きな原因となつた。このほか,産油国と国際石油資本間の石油価格引上げ等をめぐる紛争が妥結し,原油供給の保証と石油価格の安定が約束されたことによる先き行き不安感が除かれたことと前年ブーム時におこなわれた大量の中短期用船とによつて船腹需要が激減したこと,また日本の鉄鋼減産による不定期船市況の低落と鉄鉱石輸送の減少により,油送船の1割を占める兼用船の多くが石油輸送に配船されたことなどもタンカー市況を大幅に低落させた原因といえる。
一方,不定期船市況も,わが国の粗鋼減産を契機として反落に転じたが,わが国の不況の深刻化による乾貨物輸入の大幅な後退と西欧諸国における景気停滞による工業原料輸入の鈍化が,不定期船市況の急落の大きな原因である。
国際線航空運賃は,46年8月末の円の変動相場制への移行後も1ドル=360円,の固定レートを適用していたが,円高相場を調整するため,12月1日以降換算レートを1ドル=343円に変更した。その後,航行援助施設利用料の設定,人件費増などのコスト上昇および通貨調整に伴う運賃収支の実質的低下等により,47年4月1日より,国際線運賃の改定が実施された。これによると,旅客運賃の場合,太平洋線(日本⇔アメリカおよびカナダ)では12〜14%,日本⇔ヨーロツパ間および東南アジア線では3〜6%値上げされたが,換算レートが1ドル=308円に変更されたため,円表示の運賃は,通貨調整前に比べて旅客で平均4%程度の値下げとなり,貨物では大幅な値下がりとなつた。
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