4 海洋汚染の防止対策


  昭和45年12月に「海洋汚染防止法」が制定され,工場や事業場からの排水の規制を行なう「水質汚濁防止法」,「廃棄物の処理および清掃に関する法律」とともに海洋汚染防止に効果を発揮することが期待されている。この法律は「1954年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約」の1969年改正条約の国内法としての性格をもつており,わが国は,上記改正条約を率先して批准したように,国際的にも指導的役割を果たしている。
  海洋汚染防止法では,船舶および海洋施設からの油や廃棄物の排出を規制しており,この規制が実効性を持つために規制対象船舶におけるビルジ排出防止装置に関する指導を実施してきた。また47年度末までに全国45港68カ所において廃油処理施設を完成させることにしている。
  一方,海上保安庁では,従来から海洋汚染の監視と取締りを積極的に行なつてきたが,海洋汚染防止法などの海上公害関係法令の施行に伴い,本庁については46年度に「海上公害課」,47年度に「海上保安試験研究センター」を,また管区海上保安本部には「海上公害監視センター」(46年度4カ所,47年度1カ所)を設けるなど,海上公害関係組織人員および器材の充実強化を行なつた。
  なお,1972年6月の国連人間環境会議において,海洋汚染防止のための国内規制の強化,調査研究の促進,海洋投棄規制条約の早期制定などについて勧告がなされた。また,IMCOにおいては,上記油濁防止条約をさらに改正し,有害,危険物質の排出規制等を含む総合的な海洋汚染防止条約を制定する方向にあり,わが国はこれに対して今後一層海洋汚染防止対策を充実強化していく必要がある。


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