(1) 1日行動圏の拡大


  経済活動の活発化,所得水準の上昇に伴い市民は時間をますます重視するようになり,時間価値は上昇し続けている。時間価値の上昇に伴う高速化への要求に対応して,各交通機関ともスピードアツプをめざして,技術面,施設面での努力を重ねてきた。
  鉄道では,39年10月の東海道新幹線の開通による時間短縮がめざましく,47年3月の山陽新幹線の部分開通により東京・岡山間はさらに1時間50分短縮されるなど,新幹線の開通により都市間の時間距離は大幅に短縮されている。すでに建設が決まつている東北,上越両新幹線が開通すると東京・盛岡間は3時間30分短縮されて2時間30分に,また,東京・新潟間は2時間20分短縮されて1時間40分になる予定である。また,新幹線以外の在来路線についても電車化,特急・急行の増発を行なうなど高速化が図られてきた。
  道路については,高速道路の整備が著しく,40年3月には,総延216qにすぎなかつたものが46年3月には,813kmと約4倍に拡充されている。
  航空についてもジエツト機の導入,空港の整備により,高速化が図られてきた。
  さらに船舶についても水中翼船,快速船の就航により,高速化が進んでいる。
  これらにより,主要都市間の所要時間は大幅に短縮され,航空においては,主要都市間はすべて1日行動圏となつているほか,鉄道においても 〔2−1−3図〕に示すように1日行動圏は拡大してきている。

  このような時間距離の短縮は市民のモビリテイを高め,社会的,経済的活動を活発化させるとともに,人間交流の緊密化を促進している。


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