2. 物資別適合輸送の整備拡充


(1) 石油輸送の拡大およびパイプライン輸送計画

  46年度の石油の全輸送実績は,景気停滞の影響を受け, 〔I−(I)−18表〕のように1,637万トンで45年度に比べ6%増と伸び率はやや低調であつたが,石橋,八王子,南松本等内陸消費地におけるオイルターミナル基地の整備が進んだこともあつて,オイルターミナル向け輸送量は45年度に比べ57%増と大幅な伸びを示した。今後とも石油類の消費量は引き続き大きく増大することが見込まれるが,これに伴なう鉄道輸送力の不足を解消するため,経済的かつ合理的な輸送方式であるパイプラインの導入が必要であり,当面特に輸送力の逼迫している京浜地区から南埼玉間については,パイプラインを敷設することとした。国鉄のパイプライン建設計画は,鶴見・川崎地区に発ターミナルを,八王子および南埼玉地区に着ターミナルを設け,その間は主に鉄道線路にパイプラインを埋設しようとするものであり,48年度使用開始を目途に,近代的な輸送体系を確立することとしている。

(2) 自動車輸送の拡大

  自動車の国内需要は,景気の後退,自動車重量税などの影響を受け頭打となつたが,国鉄の専用貨車による自動車輸送は西浜松駅,宇都宮貨物ターミナルにそれぞれ自動車専用基地を新設して輸送量の拡大を図つたことにより,45年度に比べ106%の伸びを示した。

(3) 紙・パルプ輸送の拡大

  45年4月から実施した「おうじ号」に続いて,46年4月から釜(石巻港)・越中島間に紙専用列車を新設するなど適合輸送化の推進に務めたが,46年度は,産業界の全般的な不況によつて生産量は横ばいに終始し,鉄道輸送量も0.3%減となつた。
  懸案の飯田町紙交通センターは,47年11月開業目途に目下建設中であるが,これにより,着基地の整備と主要生産地からの大量直行輸送体制を確立し,あわせて流通倉庫併設による輸送と保管の一体化,流通コストの低減を実現することとしている。

(4) セメント輸送の拡大

  セメント輸送改善については,47年4月に国鉄と業界の共同出資による「セメントターミナル梶vを設立し,共同基地(会津,浜松に建設中)建設による輸送施設の共同,積卸し,配送作業の協業化,共通車両の保有,貨車運用の一元化などを行なわせることとしている。

  なお,46年度の輸送実績は,1,721万トンで45年度に比べ4%増であつた。

(5) 粉粒体物資輸送の拡大

  46年度には,日本飼料ターミナルの着共同基地として,三股,宇都宮両貨物ターミナルの整備(45年度までに建設した11基地と合わせて13基地)を行なうとともに粉粒体専用貨車(ホキ2200形式)の増備(851両)を引き続き進めた結果,輸送量は45年度に比べ57%増という大幅な伸びを示した。


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