2. 中小私鉄対策


  中小私鉄については,地方における通勤通学輸送,貨物輸送等の公共大量輸送を担う機関としての重要性にかんがみ,従来より各種の助成や運賃の適正化等の諸措置を講じてきているが,地方人口の減少,モータリゼーシヨンの進展を中心とする輸送構造の変化や,人件費等の諸経費の高騰に伴い,企業の合理化努力にもかかわらずその経営状態は著しく悪化している。
  このような中小私鉄の状況にかんがみ,今後は,地方交通の一環としての中小私鉄の役割を十分認識した上で中小私鉄対策を検討することが必要である。地方交通においてもつとも問題となるのは,ほぼ同一の輸送サービスを提供する鉄道輸送とバス輸送との選択の問題であり,原則としては,両者のコストを比較して鉄道輸送が国民経済的に有利である場合に限つて存続させ,他は廃止してバス輸送への転換を促進すべきであろう。ただ,現実の選択に際しては,ラツシユ時の輸送能力,道路の整備状況,積雪等の自然条件等バス輸送の代替可能性を十分考慮する必要がある。そして,鉄道として存続させるべき路線については,近代化を促進するため,近代化設備に対する助成をいつそう強化するとともに,欠損補助等の措置を講じ,もつて地域住民の生活の維持,地域の開発を図ることが必要である。


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