2. 地方バス路線の運行確保対策


  このような状況に対処するため,運輸省においては,離島,辺地等の過疎地域を運行する乗合バス事業者に対して,41年度からバス車両購入費補助,44年度からバス路線維持費補助,さらに45年度からは市町村に対する廃止路線代替バス車両購入費補助の制度を設けるなど年々その内容の拡充に努めるとともに,46年度からは各地域の実情に応じた具体的な対策を講ずるため各都道府県単位に陸運局,地方公共団体,バス事業者からなる過疎バス路線協議会を設けて,個々の路線ごとに路線の統廃合,代替交通機関の確保のための具体策,その他住民の利便確保のための事項について検討してきた。
  しかしながら,既に述べたように,バス路線維持問題が単に過疎地域等の人口稀薄地のみにとどまらず,これらの地域の周辺部にも及ぶに至つていることから,長期的総合的視野に立つて,これらの地域を全体としてとらえた抜本的対策を講ずる必要が生じてきた。このため運輸省では,47年度以降5ケ年間にわたり,従来の制度を抜本的に改めた地方バス路線運行維持対策を強力に進めることによつて,これらの問題の解決を図ろうとしており,47年度予算においても前年度比3倍強の4億7千万円(沖縄分を含めると5億7千万円。)を計上している。新しい制度の内容は以下に述べるように,従来の制度に比べ画期的なものを含んでいる。
 (1) 対象地域を過疎地域等に限定せずいわゆるローカルバス全体に拡大し,全国87のブロツクごとに集約を推進して企業基盤の強化を図るとともに,集約を行なつた事業者に対して,地域住民の生活上必要不可欠の路線の維持および老朽車両の代替購入に要する経費について重点的な補助を行なう。
 (2) 地方バス路線に対する補助は,(1)によつて行なうことを原則とするが,過疎地減等におけるバス路線については,その維持がとくに困難になつている実情にかんがみ,集約が行なわれない場合でも,従来の補助制度のうち運行維持費補助制度をほぼ継続して行なう。
 (3) 路線バスが廃止された場合に市町村等が代わつて行なうバス運行を円滑に行なうため,従来の廃止路線代替バス車両購入費補助制度を継続するが,対象地域等の拡大を図る。
  (なお,沖縄については,その特殊事情を加味しつつ,これらの制度をほぼ適用する。)
 (4) これら地方バス路線運行維持対策を行なうにあたつては,地域住民の利便確保の観点から都道府県を主体とすることとし,国は都道府県に対して補助等の措置を講ずる。


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