3. 自動車整備業の近代化
(1) 自動車整備業の構造改善
自動車分解整備業は,その特殊性として,工場数が非常に多く,その規模が小さいため,生産性の向上を図ることが困難になつている。最近の自動車数の激増による交通事故,公害の発生,あるいは高速道路の発達,自動車の性能の向上などが整備作業の質的変化をもたらし,一方では経済環境の変化に伴う労働力の確保難,あるいは賃金の高騰など経営条件においても非常に厳しいものがある。このような情勢下において,自動車整備業の社会的使命はますます加重し,とくに安全確保の分野において,非常に重要なものとなつている。
運輸省としては,これらの諸問題に対処すべく安全確保のための施策の一環として,自動車分解整備業の構造改善の推進を強力に指導しているところである。
この構造改善については,自動車分解整備業が46年11月に中小企業近代化促進法による特定業種の指定をうけ,51年度を目途として生産性および作業精度の向上,整備原価の引下げ,適正経営規模の達成,あるいは整備要員に対する技術教育の強化,取引関係の改善等を図つている。
また,自動車部品整備業についても中小企業近代化促進法の指定業種となつており,生産性の向上,整備原価の引下げ,作業精度の向上などを目標に必要な諸施策を毎年実施計画に掲げて,強力に近代化の推進を図つている。
(2) 整備要員の技能向上
自動車の整備作業に従事する者の整備技能の向上を図るため,自動車整備士技能検定試験を実施するとともに,新人教育および再教育のための自動車整備士養成施設についてもその拡充強化に努めているが,近年における自動車構造装置の進歩により,整備作業の内容も急速に変化しつつあり,これらに対処できる技術能力を有した整備要員が強く要請されている。
これに対処するため,自動車整備士技能検定制度調査委員会の答申に基づき,46年度においては整備業界団体の行なう認定試験を認め,今後は,特殊整備士の制度化を図る等自動車整備士技能検定制度の拡充強化に努めていく。
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