2 一般貨物船業界の不況と船腹過剰対策
46年度における内航海運の輸送需要は,全般的に減少したが,とくに鉄鋼,石炭等の輸送を担当する一般貨物船の分野においてその傾向が顕著であつた。このため,一般貨物船業界は,46年以来船腹過鷺に陥り,現在もなお不況に苦しんでいる。
この過剰船腹を解消するため,政府は47年度において,15万重量トンの船舶を共同係船するための資金12億円および5万重量トンの船舶を解撤するための資金10億円を融資することとした。
共同係船に対する融資は,船舶整備公団を通じて内航海運業者のカルテルである内航海運組合に対して行なわれ,海運組合はこれを資金として係船船主に係船交付金を支給するとともに,稼動船舶の船主からはその所有する船腹量に応じて係船納付金を徴収して,融資の返済を行なうこととなつている。係船期間は10月間,係船交付金は1重量トン1月当り800円である。
解撤に対する融資は,47年度に老朽貨物船を解撤または輸出し49年度以降に竣工の新船を建造する者に対し,船舶整備公団を通じて行なわれ,融資を受けた者はこれを新船建造に至るまでの間の事業継続の費用にあてるものである。融資額は,解撤の場合は1重量トン当り2万円,輸出の場合は1重量トン当り1.5万円である。
以上のほか,一般貨物船の船腹の増加を防止するため,海運組合では,46年8月に,船腹調整上の措置として,一般貨物船の1年間建造停止を決定し,また船舶整備公団においても,46年度は一般貨物船の共有建造を行なわないこととした。
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