3 企業体質の改善


  内航海運はもともと鉄鋼,石油,石炭等の特定大量物資を主として輸送しているため,輸送事業のなかでは経済界の景気変動の影響を最も敏感に受けやすい事業である。一方,業界の実態を見ると,元請運送業者,下請運送業者,船舶貸渡業者という二重三重の構造からなつており,しかも企業規模の零細な事業者が乱立している。たとえば, 〔II−(I)−13図〕のとおり,運送業者の84%は資本金5,000万円未満の企業であり,また 〔II−(I)−14表〕のとおり,船舶貸渡業者の84%はいわゆる一杯船主である。さらに貸渡業者は,とかく輸送需要についての長期的な見通しもないままに新船を建造しようとしがちである。このようなことから,内航海運にあつては,各業者間の協調体制の維持が困難となり,また景気変動に対する抵抗力も弱いものとなつている。

  したがつて,内航海運が基幹的な輸送機関として,将来にわたつて安定した輸送力を提供するためには,基本的にはこのような事態を改善することが必要である。
  このため,運輸省では46年以来,海運組合の再編成,海運組合による船腹調整方法の改善等の海運組合活動の合理化方策および船舶貸渡業の集約化,運送業の体質強化等企業基盤の強化方策を打ち出し,この方向に沿つて業界に対する指導を進めている。


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