2 旅客航路事業の経営状況
旅客航路事業の収支状況について,47年4月実施した調査によつて航路収支をみると 〔II−(I)−17表〕のとおりで,全体の収支率は98.5%となつている。集計対象事業者が異なるので正確な比較とはいえないが,前年度の収支率が104.2%であつたのと比べると大幅に悪化している。
収支状況を収入規模別に分類してみると,5億円以上の航路事業収益をあげている航路では111,4%と健全な収支率を示しているが,そのほかは収入規模が小さくなるに従つて収支率が下つており,航路事業収入1千万円末満の航路では収支率66.2%と大幅な赤字を計上している。
また,収支状況を使用船舶の種類によつて分類してみると,在来旅客船のみ使用する定期航路および不定期航路では,大幅な赤字となつており,フエリーのみを使用する航路および在来旅客船とフエリー等を併用する航路では黒字となつている。高速船または水中翼船のみを使用する航路ではわずか黒字となつているのに対して,ホーバークラフトのみを使用する航路は大幅な赤字となつている。
以上のように,旅客航路事業の大部分は赤字経営となつている現状からすれば旅客航路事業の健全化のため,できるだけ事業の集約化,航路の整理統合等を促進し,経営基盤の強化を図つていく必要があるとともに,航路事情に見合つた使用船舶の近代化を推進する必要があろう。
|