2 港湾管理財政
港湾の整備のための資金については,従来から国の補助金を支出して,管理者財政の負担の軽減に努めているが,港湾取扱貨物量に対応して,施設整備量が増加し,これに対する負担金の増加が著しいこと,港湾における公害の防止等新しい費用負担が生起したこと等により,費用が増大しているにもかかわらず,係船料等の主要な管理収入が依然として旧来の水準におかれているため管理者財政は圧迫されている。
45年度における主要8港(東京,川崎,横浜,名古屋,大阪,神戸,下関および北九州の各港をいう(以下同じ)。)の港湾管理者財政の概況を官庁会計方式によつてみると, 〔II−(III)−5表〕のとおり歳入,歳出総額は4%と僅かな伸びをみせ,使用料等収入の割合は44年の22.5%から45年には26.6%と若干よくなつたが,なお,公共負担は増大している。また歳出においては,基本施設整備費が7%増となつていて,一応順調な整備が進められているが,公債償還費も12%増となつており,その全体に占める割合も20.5%と大きく財政圧迫の原因となつている。
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港湾管理者財政の損益を明らかにするため,45年度の経常収支(経常収入として施設使用料と役務利用料,経常費用として管理費,公債利子ならびに減価償却費(港湾管理者の実質負担分のみ)を考える。)を企業会計方式によつて試算してみると 〔II−(III)−6表〕のとおり,収支比率は前年度の155より148と若干よくなつたものの,収入は総費用の3分の2強にすぎない。なお,公債利子は50億8,400万円と対前年比13%の増加を示し,総費用に占める割合は27%と依然として高い比率を示している。
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