1 港湾における輸送革新の進展


(1) コンテナ化

  雑貨輸送に画期的な効率化をもたらしたコンテナ化は,昭和43年の北米南太平洋航路のコンテナ化以来,豪州,北米北太平洋,欧州に引き続き,47年8月にはニユーヨーク航路にもコンテナ船が投入され,主要航路はすべてコンテナ化されるに至つた。そして北米関係航路では46年には定期船貨物の73%(往航)がすでにコンテナ化されるに至り,コンテナ貨物は,今後45年の480万トン(定期船貨物の10%)から50年には2,820万トン(同38%)に達するものと推定されている。
  また,コンテナと類似したものにラツシユ方式がある。これは大型母船に,はしけ(約400積トン)数十個とコンテナ数百個を積載し,自ら装備する超大型クレーンによりはしけを海上に直接積卸する方式であり,荷役時間が短くてすむこと,大観模なけい留施設を必要としないこと等利点がある。わが国には,46年8月以来北米航路にラツシユ船が就航し,47年8月現在5隻となつている。

(2) 流通センターふ頭

  穀物,鋼材等,大量貨物についても,メーカー等が中心となり流通革新が進展しているが,これは工場,大型専用船とあわせて専用ふ頭を整備し,港湾荷役処理を生産流通過程の一環としてとらえようとするものであり,荷役は大型機械により高能率に行なわれ,ふ頭も単なる積卸の場ではなく,生産販売活動の一大拠点(センター)として機能し,従来の港湾ふ頭とは異質のものとなる。たとえば,従来,輸入穀類はほとんど,はしけにより沖荷役されていたが,40年以降サイロおよび大型荷役機械を備え,貯蔵,配送,加工施設と一体となつたふ頭の建設が急速に進み,サイロの取扱数量も41年には369万トン(全体の30%)にすぎなかつたものが45年1,181万トン(同68%)になり,50年には2,000万トン(同95%)に達するものと予想されている。

(3) フエリー

  フエリーは道路混雑の激化,運転手不足の深刻化,旅行形態の多様化を背景に,近年その役割を飛躍的に増大しつつあり,長距離航路(300キロ以上)は47年7月末現在,15航路29隻となつている。これらフェリー輸送は貨物の種卸という面からはきわめて簡素化されており,港湾運送七の1つの革新手段とみることができる。

(4) ふ頭使用の効率化

  ふ頭を最も効率的に利用し,荷役の合理化を図るためには,ふ頭とその背後の荷役施設を一体として単のターミナル・オペレーターが管理運営することが理想である。このため,今後建設される外貿定期船ふ頭の大半を占める外貿ふ頭公団等の整備するコンテナふ頭および定期船ふ頭については,すべて船社あるいは港運業者に専用貸付することとし,また既存のふ頭についても出来る限り効率化を図るため,外貿定期船ふ頭に航路別ふ頭優先使用方式を,大量貨物については物資別専用ふ頭方式を導入し成果をあげている。
  また,岸壁と上屋の一体的有機的使用を促進するため,45年秋から山下および摩耶の両ふ頭において上屋戸前受制度が開始された。普通,定期船の船積の場合には個々の荷主が船積の直前に貨物を船側に持ち込み,船社はそこで貨物を受取るが,作業の混乱,本船串航の遅延等の問題が多いため,上記の制度がその効率化を図る目的で採用されたものである。具体的には荷主は船積貨物を事前に船社が指定したふ頭背後の上屋に持ち込み,そこで船社に引渡し,以後は船社が自らの責任と費用で貨物を管理し,計画的に船積する方式である。この方式は神戸ではかなりの効果をあげており,新方式による貨物の摩耶埠頭取扱貨物全体に占める離合はすでに27%(46年)に達している。


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