2 海水油濁防止施設の整備
船舶内において生ずる廃油には,タンク洗浄水,油性バラスト水およびビルジがあるが,このうち,タンク洗浄水および油性バラスト水については,外航タンカーは,ロード・オン・トップ法により処理している。しかし,内航タンカー等でこの方法によることのできない船舶にあつては,廃油処理施設において処理することになる。
廃油処理施設については,昭和50年に船舶から発生する廃油の量を推定し,これにあわせてその整備を図ることとしており,47年度末には45港で68施設が整備される予定である。このうち民間の廃油処理事業者あるいは石油精製業者が整備する施設は33港46施設であり,港湾管理者が整備するものは22港22施設である。
施設整備の資金は,民間の場合日本開発銀行および中小企業金融公庫で融資を行なつており,港湾管理者の場合は国の補助がなされている。
ビルジについては,少量ではあるが船舶において必ず生じ,その運航に大きな影響を与えるため,海洋汚染防止法において,船舶所有者に対し,ビルジ排出防止装置を船舶内に設置することを義務づけている。ビルジ排出防止装置には,油水分離装置,漏油防止装置等が規定されているが,ほとんどの船舶は油水分離装置を採用している。
さらには,油水分離装置によつて分離した廃油等を船舶内において合理的に処分するため,廃油焼却炉が開発され積極的に採用されており,また,油以外の廃棄物の排出規制に伴い,旅客船等の船舶内生活廃棄物の多い船舶には汚物処理装置の設置が必要になつた。
なお,これら油水分離装置,廃棄物焼却炉および汚物処理装置の設置を促進するため,中小企業近代化資金等助成法に基づく設置資金の貸付け,ならびに船舶整備公団が油水分離装置を対象に行なう融資とともに,これらの装置を取得した初年度に租税特別措置法に基づく特別償却対象装置の適用などの助成策を講じた。
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