3 監視・取締り体制
海上保安庁は,従来から汚染多発海域である東京湾等の4海域に重点を置いて,巡視船艇・航空機による海洋汚染の監視・取締りを実施してきたが,各種海上公害関係法令の制定に伴う規制の強化に即応するため,46年4月,本庁に海上公害課を,汚染多発海域を管轄する第三・第四・第五および第六管区海上保安本部に海上公害監視センターを設置したが,47年度においては,海洋汚染防止法等の海上公害関係法令の全面施行に伴い,油,廃棄物,工場排水の排出規制等が一段と強化されたので,これに対応して監視・取締り体制をさらに強化するため,4月に本庁に海上保安試験研究センターを,第七管区海上保安本部に海上公害監視センターをそれぞれ設置したほか,監視・取締用器材を整備するなど,組織・要員・器材の充実強化を図つている。さらに,船艇・航空機については,整備の重点を海洋汚染の監視・取締りに有効な巡視艇と小型ヘリコプターに置いて46年度には巡視艇22隻の代替建造,小型ヘリコプター4機(うち2機は47年4月就役)の増強を行なつたが,47年度においても引き続きこれについて整備増強を図り,汚染多発海域に重点的に配置して船艇と航空機との連けいによる監視体制の強化を図ることにしている。
この結果,46年には701件に及ぶ海上公害関係法令違反を検挙した。このうち油記録簿の備付け,記載義務違反などの形式犯を除き,し尿その他廃棄物の不法投棄等の海上公害事犯は588件で,いずれも45年に比べて約2倍に達し,検挙率は著しく上昇した。
なお,海洋汚染防止法により,新たに規制の加わつた廃棄物の排出については廃棄物排出船の登録業務を円滑に行なうために必要な体制を整備するとともに,この登録制度を活用して廃棄物の排出海域および排出海域への常用航路等に重点を置いて効果的な監視・取締りを行なうこととしている。
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