1 世界の国際航空輸送状況


(1) 世界の国際航空輸送実績

  ICAO(国際民間航空機関)に加盟している120カ国(なお加盟国数は昭和47年5月25日現在124カ国となつた)の定期航空会社の46年における輸送実績(ICAO推定による)は, 〔III−1表〕および 〔III−2表〕のとおりである。

  46年の旅客輸送量を前年と比較すると,増加率は旅客数で6.3%,人キロで7.2%である。貨物輸送量を前年と比較すると6.7%増加しているが,郵便物輸送量は8.3%の減となつている。

(2) 外国航空企業の乗入れ状況

  昭和47年6月1日現在,わが国に乗入れている外国定期航空会社は32社(うち2社は運休中)であり,週間運航便数は312.5便である。
  これを昨年同期と比較してみると,航空会社数は,本年5月15日に沖縄がわが国に返還になつたことに伴い,トランスワールド,コンチネンタルおよびマイクロネシアの3社がふえ,また運航便数は昨年の302便に対して3.5%増となつている。

(3) 国際航空運賃

  国際航空運賃については,昭和46年度には,通貨調整に伴い種々の改訂がなされた。国際航空運賃は,IATA(国際航空運送協会)という世界の主要航空会社106社によつて構成される団体で決定され,関係各国政府の認可を得て発効している。46年度には,旅客運賃については,9月にマイアミで,貨物運賃については5月にシンガポールでIATAの会議で開かれ,それぞれ新運賃を一部を除き決定した。旅客運賃についての決議は,普通運賃を全地区で約4%値上げするとともに,団体運賃等の特別運賃を,チヤーター輸送会社との競争および市場開拓の意味で大幅に引下げることを内容としたものであり,貨物運賃関係の決議は,最低料金の約20〜30%の値上,一般貨物賃率と特定品目賃率の約3%の値上げ,パレツト,コンテナの利用の促進をはかる運賃の導入等を内容としたものである。なお,太平洋線および大西洋線については貨物運賃関係の決議は成立しなかつた。
  46年夏に生じた国際通貨不安は,国際航空運賃に大きな影響を与えた。国際航空運賃の建値はIATA第1地区(アメリカ大陸およびハワイ等その周辺)発着のものはドル建て運賃,それ以外のものはポンド建て運賃とされており,ドル又はポンド以外の通貨で運賃を支払う場合は,IATAの決議した通貨換算率で換算することになつているが,世界の主要国が変動相場制をとつた46年夏から秋にかけてはこのIATAの換算率が為替相場と相当かい離し,円で運賃の支払いをすると,ポンド又はドルで支払うより実質的に運賃が高くなるという状態となつた。
  この不均衡を改めるため,IATAは,円とポンド・ドルとの換算率を,従来の1ポンド=864円,1ドル=360円から1ポンド=823.2円,1ドル=343円に変更し,12月1日より発効させた。その後,12月20日に国際的な通貨調整が行なわれたのに伴い1ドル=308円,1ポンド=802.56円の換算率の採用,それに伴いドル建て運賃を5〜7%,ポンド建て運賃を1%値上げすること等を決議し,4月1日から前記マイアミ会議での決議と同時に発効させた。この経緯を要約すれば 〔III−3表〕のとおりである。


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