1 空域の再編成および管制方式の改善
増大し,複雑化する航空交通を安全かつ円滑に処理するため,航空交通管制に関する諸般の安全対策を講じてきたが,とくに,昭和46年7月に発生した全日空機と自衛隊機の空中衝突事故にかんがみ,航空交通管制の再検討を進めるため,総理府に,総理府,外務省,運輸省,防衛庁等関係省庁の職員をもつて構成する「航空交通管制連絡協議会」を設け,「航空交通安全緊急対策要綱」を策定し,さらに同要綱を中央交通安全対策会議において正式に決定し,その推進を図ることとした。
同要綱は,民間機が離発着または飛行する空港や航空路の空域と自衛隊機の訓練試験空域とは安全に分離すること。すべての航空機が航空交通管制を受けなければならない空域である特別管制空域を新設,拡大するとともに,これに伴う措置として航空路および航空交通管制区を横切る自衛隊機の専用回廊を設定すること,「運輸省の航空行政と自衛隊業務との間の調整に関する覚書」を再検討すること等を骨子とするものである。
昭和46年度においては,航空路等と訓練空域等の分離を,低高度訓練・試験空域を鹿島灘東方海上等9か所に,高々度訓練・試験空域を北海道西方海上等11箇所に設定することにより実施した。
また,航空交通の安全の見地から,前記「覚書」の再検討を行ない,「覚書」を白紙にもどし,昭和47年3月,新たに「航空交通の安全を確保するための運輸省の航空行政と自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」を決定した。
その他,特別管制空域の設定等については,第3節で述べたとおりである。
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