6 観光の分野における国際協力
わが国は,各国の国家的観光機関によつて構成される官設観光機関国際同盟(IOUTO)に加盟して,国際観光の振興活動に協力するとともに,観光面における国際協力活動として,近隣諸国との地域的協力,開発途上国に対する技術協力,経済協力を行なつている。
地域的協力としては,東アジア地域・8か国の観光宣伝機関を会員とする東アジア観光協会(EATA),および,関係各国の政府機関,運輸,旅行,ホテル業者を会員とする太平洋観光協会(PATA)に国際観光振興会が参加して,共同宣伝事業に協力している。
とくに,1973年2月には太平洋観光協会の年次総会が東京で行なわれることになつており,東京での本会議に先立ち京都で開催されるワークシヨツプ(研究集会)では,「観光はよりよき環境を創る」というテーマの下に活発な討論の展開が期待されている。
開発途上国に対する技術協力は研修員の受入れと専門家の派遣がある。
1971年は,6月から8月にかけて,アジア,アフリカ,中南米の開発途上国17カ国の観光機関職員17名を対象とする観光集団研修を実施したほか,個別的な研修生受入れ,50人に及ぶ観光事業の視察,研究に来日した者への便宜供与等を行なつた。
また韓国政府の要請により済州島に5名からなる調査団を送り,同調査団は済州島の空港整備計画と観光開発計画の基本的方向についての技術的アドバイスを行ない,調査結果を72年4月韓国政府に提出した。
1968年の第3回東南アジア開発閣僚会議におけるタイの提案に基づき,東南アジア貿易投資観光促進センターが,1972年1月20日加盟9か国代表による協定の署名によつて東京に設置された。
観光および観光に関する投資については,国際観光振興会が,貿易と貿易関係投資に関する事業は日本貿易振興会が,運輸省および通商産業省かちそれぞれ委託を受けて実施している。
観光部門の事業は,観光展示の開催,宣伝印刷物の作成・配布,映画・写真の作成・貸出し,旅行情報の提供,観光関係投資のあつ旋等が主要なもので,常設展示場をもつ事務所が東京日比谷に開設されている。なお,観光部門における1971年度の予算額は31,973千円である。国際化の進展と発展途三国への援助強化の時代にあつて,国際協力はいよいよ重要度を増してきており,観光面においてもその要請は今後ますます強まるものと考えられる。
また,わが国企業により,ハワイ,グアム,東南アジア等へ17軒(5,585室)のホテル業の進出がみられる。これら企業は,運輸交通機関関係によるものが圧倒的に多くなつており,日本人海外旅行者の利便の増大に資し,あわせて現地の開発,現地住民の優先雇用による所得の確保,生活の安定,向上に大きく寄与している。
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