5 旅行業における情報化の進展


  旅行業は,取り扱う情報が多種多量であること,業務の迅速な処理が必要であること等から本来コンピユータ利用のメリツトが大きい業種である。旅行業者のコンピユータの和用状況をみると,47年8月現在,旅行業務の処理のためにコンピユータを使用している者は,大手3社(このほか外国企業の本邦支社1社がある。)また,その数は,4台となつている。これらのコンピユータには,旅行業者がホテル,旅館と協定して確保している客室が記憶されており,これと全国293カ所の営業所にある端末装置がオンライン方式で結ばれ,リアルタイムによる客室の予約業務に使用されている。また,交通機関の座席予約については,国鉄や航空会社のコンピユータとオンライン方式で結ばれる端末装置を全国300か所余の営業所に設置し座席予約業務の用に供している。さらに最近一部の旅行業者では主催旅行の予約,旅館券の自動発券にも,コンピユータを活用するとともに,座席予約と客室予約を一台の端末装置で処理することにより,予約業務の一体化を案施しつつある。
  しかしながら,コンピユータを利用している営業所は全一般旅行業者の営業所のわずか13%程度にとどまつており,旅行業におけるコンピユータの利用の程度はきわめて不十分な状況にある。今後国民の旅行需要が一層増大し,かつ,多様化することを考慮すると,より多様な旅行情報をより迅速に提供するため,コンピユータの活用を一層推進することが必要である。このためには,すでにコンピユータを導入している旅行業者のオンライン・リアルタイム方式による情報網を一層拡充することはもちろん,大多数の旅行業者は,コンピユータ導入の経済的負担に耐えられない状況にあるので,その共同利用について検討する必要があろう。また,コンピュータの各種予約システムの統合化,処理可能情報の種類を一層拡充することも必要である。さらに基本的には,単に交通機関,宿泊施設の利用状況にとどまらず,気象,海象等の自然条件,観光施設の利用状況,食事,土産品についての情報等旅行に必要な各種の情報を広く一元的に収集提供するシステムの整備が必要となろう。


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