1 47年の貨物輸送


  昭和47年の我が国の輸出は,285億9,114万ドルで前年に比べ19.0%の増加,輸入は234億7,071億ドルで19.1%の大幅な増加となつた。46年の輸入の伸び4.4%と比べると,47年では国内景気の回復による内需の拡大とともに,各種の輸入促進政策の効果があらわれたと推定される。
  我が国の貿易額を地区別にみると,アメリカ,EEC,東南アジア等いずれも堅調な伸びを示した。しかし,アメリカについては,特に品目別にみると,輸出では自動車,鉄鋼,繊維等が通貨調整,輸出の自主規制の実施による打撃を受けて伸び悩み,輸入についても,石炭,鉄くずが粗鋼の生産抑制により減少した。
  47年の外航海運による我が国の貿易量は,輸出4,958万トン輸入5億1,288万トンで,前年に比べそれぞれ1.1%減少,4.8%増加となつた。金額の大幅な伸びには,輸出では円の切り上げに伴うドル表示価格の上昇,輸入では海外諸国のインフレーシヨンに伴う輸入価格の上昇という名目的な増加を含み,一方,トン数については,鉄鋼の輸出量の減少,原油を除く大宗貨物の輸入量の伸び悩みが注目される。邦船による輸送量は,輸出1,423万トン,輸入2億1,501万トンで前年に比べそれぞれ16.8%,2.4%減少した。これは,3か月間続いた海員ストライキによる減少分が大きい。邦船(外国用船を含む。)の積取比率は,輸出で28.7%(49.2%),輸入で41.9%(62.6%)である。

  47年の世界の海運需給と海上運賃は 〔2−3図〕のように推移した。

  運賃については,46年に引き続く世界的な景気の停滞,通貨調整後の混乱等から47年前半では近来にない低迷状態を続けたが,後半には荷動き量の増加や海員ストライキ等の影響もあり,急速に反騰した。
  47年の国際航空による輸送量(沖縄発着分を除く。)は,輸出11万39トン,輸入7万445トンで前年に比べそれぞれ27.5%,38.7%増加した。このような大幅な増加傾向は,この数年続いており,航空機の高速化,大形化が進められた結果,航空輸送が有力な輸送手段となりつつあることを示している。我が国航空による輸送量は,輸出3万4,590トン,輸入2万6,134トンで前年に比べそれぞれ18.5%,39.8%増加した。また,積取比率は輸出で31.4%,輸入で37.1%となり,前年に比べ2.4ポイントの減少,0.4ポイントの増加となつた。


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