2 輸送方式の近代化


  我が国の輸入量が世界の貿易量に占める割合が約17%にも達していることから,長期安定的な輸送体制の確保と輸送コストの低減とは貿易に頼る日本経済の発展に不可欠である。このため,物資別専用輸送,コンテナによる海陸空一貫輸送が進展している。

(1) 専用輸送

  47年の外航海運による我が国の輸入貨物量を品目別とみると, 〔2−4図〕のとおり原油,鉄鉱石,石炭,木材,石油製品の5品目で輸入貨物量の85.9%にも達している。これらの大宗貨物について, 〔2−5表〕のように鉄鉱石専用船,油送船等の専用船の拡充が進められている。48年3月末現在の我が国の専用船の船腹量は2,147万総トン(コンテナ船を含む。)で,外航船腹量の実に75.0%にも達している。

(2) コンテナ化の進展と協同一貫輸送

  コンテナによる輸送は梱包の簡素化,荷役及び輸送の合理化に大きなメリツトがあるため,近年着実に発展してきている。
  47年7月1日現在の世界のコンテナ船は,312隻,431万総トン,及び,前年に比べ81隻,153万総トン増加した。
  我が国のコンテナ航路は,47年8月にニユーヨーク航路が開設されたことにより合計5航路となり,48年6月末現在で30隻が就航している。更に,49年9月には地中海航路での就航も予定されている。コンテナ船の配船状況をみると,北米太平洋航路,欧州航路に多く投入されている。一方,開発途上国を結ぶ航路については,従来,貨物の量と質,港湾施設,内陸輸送能力の不足等からコンテナ船の就航は困難とされてきた。しかし,最近の船舶諸経費の高騰により在来定期船の運営が苦しくなつているため,これらの航路についてもコンテナ化やラツシユ船,ロールオン・ロールオフ船等の導入による合理化が真剣に検討されるようになつてきた。
  コンテナによる国際間の協同一貫輸送の発展のため,関係国際機関は法制度の面から活発な活動を続けており,通関手続きやコンテナ貨物の安全性について,47年12月末までに「コンテナ通関条約」,「TIR条約」,「1972年コンテナ通関条約」,「コンテナ安全条約」が合意された。我が国はこのうちコンテナ通関条約とTIR条約を批准している。
  海陸協同一貫輸送として,46年5月に欧州極東間のシベリアランドブリツジが本格的に開始された。シベリアランドブリツジは,日本と欧州を結ぶ最短ルートであり特に,欧州の内陸地向けの貨物について,日数,運賃の節約が可能となつた。このため輸出についてみると,46年5月のコンテナ数60個に対し,47年8月以降の実績は20倍以上となつている。
  47年の我が国のコンテナ貨物による貿易額は, 〔2−6図〕のとおり,輸出で1兆8,736億円,輸入で8,439億円となり前年に比べそれぞれ62.7%,73.0%と大幅に増加した。コンテナ化率についても,輸出で21.3%,輸入で11.7%と年々着実に伸びる傾向にある。コンテナ化率の高い品目としては,輸出で化学製品,非鉄金属鉱物製品,機械機器,繊維及び同製品,輸入で繊維原料,機械機器,化学製品があげられる。


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