3 海上交通の安全対策
海上交通の安全を確保するため,運輸省においては,航路,港湾,航路標識等の海上交通環境の整備,船舶の安全性の強化,沿岸防災気象業務の整備,船舶運航要員の資質の向上,海上交通の安全に関する研究の促進及び海難救助体制の強化等の諸施策を推進しているが,特に,船舶の大型化,船舶交通のふくそう化等に対応して制定された海上交通安全法が,48年7月から施行された。この法律は,東京湾,伊勢湾及び瀬戸内海の3海域について,浦賀水道航路等11の航路を設け,航路航行義務,特定の航路航行船舶に対する避航義務,横断の禁止,航行速力の制限等の特別の交通方法等を定めるとともに,工事作業を規制する等船舶交通の安全を図ることを内容としている。
外洋船舶に対しては,波浪実況図の気象無線模写通報を実施しており,波浪予報の推進を図つている。北海道,オホーツク海方面の海域では,海氷状況の監視と予報を行つている。
また,東京湾においては,レーダー,テレビ,気象自動観測装置等の諸設備を整備し,これらを集中管理することにより,一層合理的な航行管制を行うとともに,船舶に対し,気象,海象や船舶の動向等に関する情報の伝達を行う海上交通情報機構の整備を推進している。
最近,モーターボート,ヨツト等の小型船舶が増加し,また,小型漁船の操業区域が遠距離化してきたこと等により,小型船舶の海難が増加している。このため,船舶安全法の適用範囲を拡大して小型船舶に適用するとともに,小型船舶検査機構を設立し,小型船舶に対する検査を実施することとしており,また,小型船舶に乗り組む者に免許受有を義務づけるべく,「船舶職員法の一部を改正する法律案」を第71国会に提出したが,継続審議となつた。
更に最近のカーフエリー事故等にかんがみ,48年8月,カーフエリーの運航,設備,船員等各搬にわたる事項について従来の対策を強化した「カーフエリーの安全対策について」を定め,総合的な安全確保対策を強力に推進している。
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