4 航空交通の安全対策


  46年7月の「ばんだい号」事故に端を発して,47年11月までに航空機事故が相次いで起つたが,これらに対処するため運輸省では,次のような航空交通の安全のための措置を講じている。
  まず,航空事業者に対しては,安全性を基本とする経営体制の確立と事業運営の確保等についての諸対策を講ずるよう指導するとともに特に日本航空については,同社の事故の多発にかんがみ48年12月に安全確保体制を全社的にチエツクするため特別監査を実施し,48年2月所要の勧告を行つている。
  また,航空交通環境を改善するため,VOR-DME(VOR(超短波全方向式無線標識施設)とDME(距離測定用施設)を組み合わせた施設),VORTAC(VORとTACAN(極超短波全方向式方位距離測定用施設)を組み合わせた施設),ARSR(航空路監視レーダー)の整備,気象情報の取得,提供のための施設,体制の整備等を推進している。
  更に,46年8月中央交通安全対策会議で決定された航空交通安全緊急対策要綱に基づき,空域における異種交通の分離を主眼として,自衛隊用訓練空域20か所の設定,特別管制空域(すべての航空機が管制を受けなければならない空域)の追加等の措置を講じた。
  このほか,法制面においては,第71国会で航空事故調査委員会設置法が成立し,航空事故に関し,公正かつ強力な事故調査体制を確立するため,運輸省の常設の付属機関として航空事故調査委員会が設置されることとなつた。
  更に46年7月,省内に「航空法制検討委員会」を設置し,航空法の改正について検討を行つてきたが,航空交通の安全確保等のため早急に改正を要するものについて,「航空法の一部を改正する法律案」をまとめて第71国会に提出したが,継続審議となつた。


表紙へ戻る 目次へ戻る 前へ戻る