4 海洋汚染の防止対策
45年12月に「海洋汚染防止法」が制定され,47年6月25日に全面施行されるに至つたが,これにより,油の排出の規制,船舶からの廃棄物の排出の規制,海洋施設からの油及び廃棄物の排出の規制が施行され,工場や事業場からの排水等の規制を行う「水質汚濁防止法」,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」とともに,海洋汚染の防止に大いに効果を発揮することが期待されている。また,48年7月,海洋汚染防止法が一部改正されたが,その施行により海洋に流出した油を防除するためのオイルフエンス等の資材の備付けが一定の船舶所有者,油の保管施設の設置者,係留施設の管理者に義務付けられることとなつた。運輸省では,海洋汚染防止法の規制を実効あらしめるために,港湾における廃油処理施設・廃棄物処理施設の整備,船舶のビルジ排出防止装置・汚物処理装置の設置の促進を図つている。また,汚染された海域について,しゆんせつ等の汚染防除事業を実施してきたが,これに加えて海面清掃事業を行うこととしている。
一方,海上保安庁では,従来から海洋汚染の監視と取締りを積極的に行つてきたが,海洋汚染防止法などの海上公害関係法令の施行に伴い,47年度に本庁に「海上保安試験研究センター」を設置するとともに,第七管区海上保安本部には「海上公害監視センターを設置(46年度には第三,第四,第五,第六管区本部に設置)し,組織,人員の充実強化を図るほか,油排出夜間監視装置,小型ヘリコプター等の監視用の資器材の増強に努めた。
なお,1972年には国連人間環境会議が開かれ,多くの勧告がなされたが,この成果として,同年11月,廃棄物の海洋投棄に関する「海洋投棄規制条約」が採択された。また,1973年11月,IMCOにおいて,従来の油濁防止条約を大幅に強化し,船舶から発生する有害,危険物質の排出規制等を含む総合的な海洋汚染防止条約が採択されたが,我が国は今後とも積極的に海洋汚染防止対策を充実強化していく必要がある。
また,海上保安庁,気象庁においては,それぞれ日本周辺海域,西大平洋海域で海洋汚染の調査を実施している。
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