3 運賃問題
経済社会の変動と輸送構造の変革に伴い,国鉄財政は悪化の一途をたどつており,このまま推移するとすれば国鉄経営は破局的な状態をむかえ,基幹的公共交通機関としての国鉄の使命を全うすることができなくなる恐れが生じている。
このような実情から,48年度以降10年間を新たな財政再建期間とする抜本的な財政再建対策をあらためて策定し,国鉄に対し従来にます合理化努力を求めるとともに,政府出資,過去債務に対する利子負担の軽減措置の拡大等財政助成の大幅強化を図ることとしたが,なお長期に亘る国鉄財政の健全化を図り,国鉄の使命の遂行に遺憾なきを期すため,運賃料金の改定を行うこととし,49年3月31日から実施することとした。
改定にあたつては,運賃料金制度の合理化と公共負担の一部是正に留意し,旅客にあつては,
(1) その基本賃率をおおむね22%引き上げるとともに,第1地帯賃率の適用地帯を100キロ延伸して600キロまでとし,遠距離逓減の是正を図るほか,特別急行料金,寝台料金等について普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行う。
(2) 定期旅客運賃については,通勤定期について公共負担の一部是正を行うこととし,その平均割引率(1か月)を53.1%から52.1%に是正することとし,平均25.4%の改定を行う。通学定期については,割引率の是正を行わず,普通旅客運賃の改定に伴う引上げにとどめる。
(3) 手荷物運賃については,従来の1個ごとに計算する個数建運賃制度を1口の総重量により計算する総重量建の運賃制度に改める。また,小荷物運賃については,鉄道輸送にかかる小量物品を能率的かつ円滑に輸送するため,普通扱小荷物と小口扱貨物を統合して小量物品輸送の一元化を図るとともに,手荷物運賃同様個数建運賃制度を重量建運賃制度に改める。
次に貨物運賃については,
(1) 急増するコンテナ貨物の現状に即して,従来,小口扱貨物の1つとして取り扱われてきたコンテナ貨物運賃を,小口扱貨物の荷物制度への統合を機会に,新たに運賃法上の運賃として新設するとともに,その賃率水準を約25%引上げる。
(2) 車扱貨物運賃については,最近の輸送構造の変革に即応して,従来の負担力主義の立場にたつ従価等級制運賃を平均的な運送費に対応した単一賃率に近づける趣旨から,前回に引き続き等級数の削減(4等級→3等級)を図るとともに,等級間賃率指数の上下の幅を圧縮し,その賃率をおおむね25%引き上げる。
以上の改定によつて,平年度ベースでおおむね15%の増収が確保されることとなる。
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