4 労働問題
国鉄における労働組合の組織状況は, 〔I−(I)−27表〕のとおりであり,全職員432,091人のうち,組合加入者は370,155人である。
47年春闘では,国労及び動労は,賃上げ要求に加え,ダイヤ改正,合理化,運賃値上げに反対し,沖縄返還協定反対等の政治的要求をも掲げて違法な争議行為を行つたため,国鉄当局は9月に解雇27名を含む36,744名の懲戒処分を行つた。国労及び動労はこの処分に抗議して再び争議行為を行い,輸送に大きな混乱が生じ,また,労使の不信感による対立も目立つたが,10月の鉄道開通100年記念日を一つの契機として,ひとまず収束した。この争議の結果,旅客列車9,127本,貨物列車8,187本が運休した。
48年の春闘にあたり,国労及び動労は,2万4千円の賃上げ,合理化反対,年金の充実のほか,ストライキ権奪還等の政治的要求をも掲げ,動労はこのほか独自に運転保安の確保を要求し,それぞれ2月以降数波にわたる闘争を行つた。
本年の春闘では,乗客が動労の闘争に概して批判的であり,3月13日には高崎線上尾駅で,4月24日には首都圏各駅で一部乗客が不満を爆発させ,騒乱状態が生じた。このため政府及び国鉄当局は,国労及び動労が計画した4月26日以降72時間のストを前に,ストによる混乱を回避するため経済的要求には応じる方針を固め,7年ぶりに有額回答(8,097円,前年並み)を提示した。しかし,組合側はこの回答には納得せずまた労働基本権問題について明確な回答を要求し,ストライキに入つた。しかし同27日には,政府と春闘共闘委の間で,労働基本権問題に関し7項目の合意が成立し,また賃金問題については,公労委が「9.9%+3,900円」の調停案を示し,組合側は事実上これを受諾したので,ストライキは中止された。同調停案と同一内容の仲裁々定は5月25日に行われた。
その実施には1,286億円の財源が必要となつたが,政府は当初の方針に従い,6月1日完全実施に踏み切つた。
春闘による輸送の混乱は大きく,その影響は旅客列車31,409本及び貨物列車19,027本の運休,影響人員5,218万人に及び,減収による損失は83億円に達した。
なお,今次春闘における一連の争議行為の責任者及び参加者に対し,国鉄当局は8月及び9月の両月,3次にわたつて,解雇50名を含む12,387名の懲戒処分を行つた。
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