5 海運に関する二国間協議


  上に述べたような海運をめぐる国際的な情勢の変化は,二国間の海運関係にもさまざまな影響を及ぼしており,我が国の場合にも直接関係国との間で,海運政策問題について論議する機会が増している。
  まず,米国との関係においては,北太平洋航路のコンテナ船の競争が激化する傾向がみられることや,米国政府がとつている独占禁止政策的な観点からの海運規制によつて両国間の海運関係に種々の問題が発生しているため,米国政府との間で昨年来前後2回にわたり協議を行つた。また,ソ連との関係においては,両国間の貿易量は遂年増加しているにもかかわらず,両国間の輸送における邦船の参加の度合が全体に低く,特に最近急成長のみられるシベリアランドブリツジ(シベリア経由の日本・欧州間コンテナ輸送)の海上運送が,ソ連船に独占されているほか,ソ連海運の日米間北太平洋航路への進出が同航路における競争を更に激化させる一因ともなつているなどの問題があり,これらの問題について,昨年来,ソ連政府との間で協議を始めている。
  中国との関係では,国交の回復に伴い,両国間の貿易量は,46年の輸出523万トン,輸入250万トンから,今後増加することが予想されるので,日中共同声明第9条の趣旨にのつとり,両国間の海運関係を円滑に運営していくため,できるだけ早期に海運協定が締結されろよう,現在交渉開始の準備が行われている。
  また,韓国との関係については,韓国の自国船政策により邦船の横取比率が7.1%(昭和47年)にとどまつているばかりでなく,コンテナ船のフイーダーサービスの整備に立ち遅れがみられるなど大きな問題があるので,早期に海運協定を締結するよう交渉を行つてきている。
  以上のほかにも,メキシコその他の関係国の政府当局との間に随時協議を行つて海運活動の円滑な実施に努めている。


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