3 教育養成の今後の課題
最近,常用航海状態において機関室の無当直が可能な設備を有している船舶,いわゆるMゼロ船が5,000総トン以上の外航船約1,000隻中225隻に及んでおり,技術革新の成果が取り入れられた船舶の就航が一般化し,これらの船舶が今後の新造船の主流になるものと予想されている。
これらMゼロ船は,主機関等の自動動化により,機関室の当直の廃止を可能とするとともに,業務の内容も監視作業が中心となる等の種々の特性を有している船舶であるが,船員の就労実態においては,依然として甲板,機関別に教育された船員が配乗され,船務を分担しているため,自動化効果が十分に生かされていない面があり,また,相互協力に欠けるところがある。
このため,甲板,機関双方に共通する横断的知識,技能を有する船員を養成し,配乗させ,運航体制の合理化を図ることが必要となつてきている。
また,これらの船舶は,電子機器等最新の技術を取り入れた機器を備えているため,中高年令層の部員を中心として,職員の一部にも,その技術を習熟できず業務を行うに際して不安感を抱いている者が生じていることにかんがみ,Mゼロ船の最新の自動化機器の技術水準に適合した技能を習熟させるための再教育も必要となつてきている。
|