1 建造量と受注量
(1) 概況
昭和47年度の新造船建造量(竣工量)は1,200隻,1,345万総トンであつた。
受注量(建造許可ベース)は国内船183隻,396万総トン(対前年度比52%減)3,649億円,輸出船341隻,1,778万総トン(146%増),1兆5,506億円,合計524隻,2,147万総トン(43%増),1兆9,155億円であつた。 〔II−(IV)−1図〕
国内船受注の特色としては,受注量が総トン数ベースで対前年度比52%減と激減したことである。この理由としては,46年12月の円切上げに伴う事実上の船価の上昇,船員費等の高騰,及び近海船建造の規制等より国内船主が建造意欲をそがれたためと考えられる。また受注内訳は,自己資金船については155隻,146万総トン(対前年度比63%減),計画造船については28隻,223万総トン(4.2%減)であつた。
輸出船受注の特色としては,受注量が総トン数ベースで対前年度比146%増と激増したことである。これは海運市況の好転のきざしがみえたこと,世界的なエネルギー需要の増大に伴うタンカーの発注意欲の増大,円再切上げを見込んだ発注等の理由により造船市況が活発化したことによるものと考えられる。上期(47年4月〜9月),下期(47年10月〜48年3月)別にみると,上期67隻,320万総トン(対前年度同期比12%減),下期274隻,1,459万総トン(305%増)となり下期の受注が活発であつた。
(2) 大手鋼船造船業(主要30工場)
イ 建造量
主要30工場の建造量(竣工量)は214隻,1,161万総トンと46年度に比べトン数で6.3%の伸びをみせた。その内訳は,国内船64隻,436万総トン,輸出船150隻,725万総トンとなつている。なお大手鋼船造船業の建造量は総トン数で我が国鋼船造船全体の86%を占めている。
ロ 受注量
新造船受注量(建造許可実績)は国内船39隻,265万総トン,輸出船219隻,1,629万総トン,合計258隻,1,894万総トンで対前年度比40%増である。
ハ 手持工事量
48年3月末現在の新造船手持工事量は国内船49隻,381万総トン,輸出船420隻,3,148万総トン,合計469隻,3,529万総トン,前年同期比25%増と史上最高の手持工事量を確保した。これは従来の工事実績からみて約3年分の工事量に匹敵する。
(3) 中小造船業
イ 中小型鋼船造船業
中小型鋼船造船の建造量(竣工量)は986隻,184万総トンで,国内船863隻,137万総トン,輸出船123隻,47万総トンである。
新造船受注量(建造許可実績)は266隻,253万総トン,うち国内船144隻,104万総トン,輸出船122隻,149万総トンで全体で対前年度比78%増であつた。
ロ 木船造船業
木船建造量は昭和47年度842隻,7,120万総トンで対前年度比13%減であり,年々減少の傾向にある。これは主として内航貨物船の鋼船化,木製漁船のFRP(強化プラスチツク)化等によるものである。
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