2 船舶輸出の状況


  我が国造船業は我が国海運のみならず世界各国の海運に対し優秀な船舶を提供し世界貿易の円滑な進展に貢献し,ひいては世界経済の発展の一助となつている。
  昭和47年における輸出額(通関実績)は,7,922億円で鉄鋼,自動車に次いで第3位である。
  輸出船受注量は,46年末の円切上げに見られる国際通貨不安,世界経済の停滞とこれに伴う海運市況の低迷といつた昨年度来の悪材料をそのまま引き継いだ形で,47年度の上期は極端な受注不振に陥り,さして好調とはいえなかつた対前年同期比を更に12%も下回つた。しかしながら下期に入つて,既述のとおり,海運市況が好転のきざしをみせだしたこと,世界的なエネルギー需要の増大に伴い油送船の発注意欲が増加したこと,船価に対する底入れ観が浸透したこと,円の再切上げを見込んでの発生が行われたこと,などにより造船市況はにわかに活況を呈してきて対前年同期比305%増という驚異的な増加となり,結局年度計としては史上最高の受注量を記録するに至つた。
  なお,48年2月の円変動相場制移行以後受注活動は堅調を続けている。
  輸出船の仕向先別受注実績は便宣置籍国のリベリア,パナマ両国が全仕向国の64%を占め,次いで英国,ノールウエーを中心とするヨーロツパ諸国の27%が続いている。
  船種別では,20万重量トン以上の超大型船型を中心とする油送船の受注量(163隻,1,503万総トン,対前年度比134%増)が増大し実に全受注量の85%を占めている。
  新造船の受注契約については国際通貨不安を反映して,そのほとんどが円建契約であり全輸出船の占める比率は総トン数99%金額で98%である。


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