1 世界の造船業


(1) 新造船建造業

  世界の新造船建造量(進水ベース)は,ロイド統計によれば,昭和47年には2,671万総トンで,前年比7.4%増であつた。このうち日本が1,287万総トンと世界全体の48.2%を占め,連続17年間世界一の座を保持した。以下スエーデン181万総トン,西ドイツ161万総トン,英国123万総トンと続いている。

(2) 新造船手持工事量

  世界の新造船手持工事量は,ロイド統計によると,48年3月末現在で対前年同期比19%増の9,918万総トンと順調な伸びをみせた。この増加は主として,タンカー市況の好転により世界的に造船国がタンカーを大量受注したこと及び円再切上げ不安により47年下期に海外船主が我が国に大量発注を行つたこと等によると考えられる。なお,48年3月末現在の世界の手持工事量のうち日本が44%で首位を占め以下スエーデン,西ドイツ,英国,スペイン諸国がシエアー5〜9%程度で続いている。

(3) 造船業の動向

  世界の造船業は工事量の面においては順調な成長を遂げてはいるが,経営内容等については必ずしも健全とはいえない状況にある。ここ1年のタンカーの大量受注が世界の大型船建造造船所に1976〜77年引渡しの先物工事量をもたらした結果,大型造船所は当面今後の需要についてこの不安はもつていない。しかしながら,我が国に比較し施設の近代化,合理化に遅れをとつている西欧諸国の中型造船所は需要の減退とそれに伴う経営内容の悪化を招いており,地域開発,雇用の面から深刻な社会問題を引き起している。これら共通の悩みをかかえるEC域内の造船国は,この原因は我が国造船業の新規設備投資ないし設備拡張に依る所が大きいとして,我が国造船業の能力拡大を阻止する動きをみせている。


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