2 国際協調
先進造船諸国間における国際協調は,政府ベースでは経済協力開発機構(OECD)を通じ,また民間ベースでは日欧各造船工業会間で行われている。OECDの場における話し合いの成果はまず44年5月の「船舶の輸出信用に関する了解」による輸出船の延払条件の統一という形で実り,続いて47年10月に「造船業の正常な競争条件の障害の漸進的除去に関する一般取極め」が決議され,造船業の正常な競争条件を歪曲するすべての助成措置が今後50年11月までの3年間以内に廃止されることとなつた。我が国も,これに協力する立場から,現在1万総トン未満の船舶に課している6%の輸入関税を段階的に廃止する予定である。
また,上記「一般取極め」には「世界造船市場において需給均衡を維持することが,造船業に対する助成措置の漸進的削滅を容易にする主要因であることに留意し,理事会は造船作業部会に対し需給状況を詳細に検討し続けることを指示する。」との規定があり,造船部会の下部機構として需給見通しのためのサブグループが設置された。本グループは47年12月から48年5月まで数回の会合を開催し,50年時点における需給見通しを作成した。これによれば,第1段階の調査結果として50年の需要量は供給量を相当量下回るものとなつたため,従来より我が国造船業の量的拡大を警戒している西欧諸国は我が国造船業に対し何らかの具体的な生産調整策を要求するところとなつた。わが国としては公正な競争を原則とする建前からこれら経済の自由活動に制限を付けることは好ましくないという立場をとりつつも西欧諸国の要求にどう理解を示し国際協調を推進して行くかに腐心しているが,この問題は今後のOECDにおける造船問題討議の焦点となろう。
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