1 船員対策
海上における船舶の運航の安全を確保するためには,船舶に必要十分な要員を確保するとともに,その資質の向上を図つていくことが大切である。
そのため,要員の確保については,船員労務官による監督の強化,船員職業安定機能の充実,労働条件及び環境に関する規制の強化と改善指導等に努めてきており,また,資質の向上については,船員教育機関の充実,海技資格制度の改善と民間の船員教育機関に対する指導と援助の強化等の措置を講じてきた。特にカーフエリーについて,運航の安全並びに旅客及び船員の安全を図るため,次の措置を講じた。
(1) カーフエリーに乗り組む船舶職員については,昭和46年12月に甲板部の船舶職員にはカーフエリーの特殊性及び就航航路等に精通した者等を乗り組ませること,航海の態様等に見合う数の船舶職員を乗り組ますこと,各船舶ごとにその就航航路を明示した書類及び船舶職員名簿を各海運局に提出すること等を指示し,47年度においても引き続き強力に指導を行つた。
(2) 非常の場合における旅客及び船員の避難等については,48年2月「旅客船における非常配置・操練の手引きを作成し,関係者の指導を行つた。
また,火災の予防については,沿海区域を航行区域とする旅客船及び平水区域を航行区域とする旅客船のうち一部のものについて,48年6月から火災予防のための巡視制度を設けるよう義務づけた。このようにカーフエリーの安全対策を強力に推進してきたところであるが,48年5月〃せとうち〃の火災沈没事故が発生したことにかんがみ,更にこれらをより厳格に実施するため全旅客船事業者に対し,膨脹式救命いかだを実際に使用する特別操練を実施させるとともに,企業の最高責任者の立会いの下に総点検を行わせた。また「旅客船における非常配置の強化並びに初期消火,通風遮断及び救命設備の取扱いの訓練に留意した操練を厳格に実施すること並びに救命胴衣の着用方法その他非常時における避難要領を旅客に周知徹底させる」ことを指示した。
また,最近のモーターボート,小型漁船等の激増に伴い,これらによる事故が多発していることにかんがみ,これら小型船舶に乗り組む者に免許受有を義務づけるべく,船舶職員法の一部を改正する法律案を上程したが,継続審議となつた。
なお,IMCOにおいて,航海中の見張りと当直,船員の教育訓練と海技免状の国際的な基準を設定するための委員会が設けられているので,我が国としても,海上安全確保の見地からこれに積極的に取組んでいる。
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