3 監視・取締り体制の強化


  海上保安庁は,従来から,汚染の多発海域である東京湾,伊勢湾及び瀬戸内海に重点を置き,巡視船艇,航空機により汚染状況の監視及び法令違反の取締りを実施するとともに,毎年,海上公害関係の組織,資器材の整備を鋭意推進して監視・取締り体制の強化を図つてきた。47年度には,本庁に海上保安試験研究センターを設置したほか,46年度の第三,第四,第五及び第六管区海上保安本部に引き続き,第七管区海上保安本部に海上公害監視センターを設置し,更に東京,大阪等の主要海上保安部署の監視・取締り要員の増強を図つた。また,巡視船艇及び小型ヘリコプターの整備,増強を行い,これらを汚染多発海域に重点的に配備する一方,赤外線を利用した油排出夜間監視装置の航空機への装備,油分濃度計,赤外分光光度計等の分析測定用器材の整備を行つた。
  この結果,47年には,前年の1.7倍にあたる1,173件の海上公害関係法令違反を検挙した。
  このうち,油記録簿の備付けや記載義務違反などの形式犯を除き,し尿その他廃棄物の不法投棄等の海上公害事犯は803件で,検挙件数全体の68%を占め,前年に比べて1.4倍に増加している。
  また,47年度には,海上保安庁において日本周辺測点及び日本南方海域の定期海洋観測線における海水中の油分やCOD等の調査,廃棄物排出海域における海底堆積物中の油分の予備調査を実施したほか,気象庁において日本近海及び西太平洋における海洋の全般的汚染状態(バツクグラウンドの汚染)調査を実施したが,48年においてもこれら調査を,より充実させ実施していくこととしている。


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