2 空港警備


(1) 空港警備の現状

  空港管理者の行う空港警備の目的は,空港における秩序を維持し,空港本来の機能を確保することにある。そのため,運輸省においては,運輸省が設置,管理する第一種,第二種空港について,空港内への不法侵入を防止するための保安柵の設置のほか,随時,場内の監視,パトロール等所要の警備業務を実施している。また,広大な空港面積を有し,かつ常時空港内がふくそうしている。東京国際,大阪国際,福岡及び那覇の各空港には,それぞれ専任の担当課を設け,特に警備強化を図つている。
  一方,現下の民間航空に対する大きな脅威となつているハイジヤツク等の不法妨害行為の防止対策については,我が国の空港にも,45年3月の日航機「よど号」のハイジヤツク事件を契機として,官民関係機関をもつて構成した空港保安委員会を設立し,各空港における全般的な保安対策の樹立を図るとともに,その対策の一環として,出発ゲートにおける金属探知器の設置,旅客の持込手荷物の検査及び必要に応じたボデイ・チエツク,監視用テレビによるターミナルビル構内における不審者の動静の監視等を実施している。更に,48年度においては,東京,大阪両国際空港を対象として,出発ゲートに新型金属探知器及びX線透視手荷物検査装置を配置することとしている。

(2) 空港警備体制の整備

  48年7月20日,日本航空北回り404便B-747型JA8109号機が,乗客123名を乗せアムステルダム・スキポール空港を離陸後乗つ取られ,24日,87時間後にリビア・アラブ共和国のベニナ空港において,乗客,乗員全員救助され,同機は爆破されるという事件が発生した。
  政府は,7月21日運輸大臣を本部長とし,関係省庁等をもつて構成する「日航機ハイジヤツク対策連絡本部」を設け,関連情報を交換分析するとともに,救援対策について協議した。同本部は,事件解決後7月28日,今後の類似事件の発生を防止するため次のような対策等を講ずることを決定した。
 イ 凶器等の機内持ち込みを未然に防止するため,東京,大阪両国際空港のほかにも主要国内空港にX線透視手荷物検査装置を早急に導入して,不審な手荷物については,徹底した開披点検を行うとともに,ボデイ・チエツクを励行すること。
 ロ 機内持ち込み手荷物の制限と少量化を徹底して指導すること。
 ハ 外国の空港を出発する航空機については,外国官憲等と協議のうえ,航空会社としても機内持ち込み手荷物の点検を徹底するとともに,外国官憲に要請する等により,ボデイ・チエツクを実施すること。
  運輸省は,この決定に基づき,当面の緊急対策として定期航空会社及び空港管理者に対し,開披点検,ボデイ・チエツク,空港保安委員会の活動の強化等の措置の実施方を指示するとともに,警察に対しては,これらの措置に対する強力な指導,支援を要請し,各省庁に対しても協力方を依頼した。
  更に,本部の決定に基づき,8月1日総理府に「ハイジヤツク等防止対策連絡会議」が設置され,関係行政機関相互間の緊密な連絡を図るとともに,総合的かつ効果的な対策を推進することとなつた。


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