4 諸外国の動向


  航空機騒音問題は,世界共通のものであり,諸外国においても騒音防止対策を実施している空港が多い。その主な施策としては,空港建設計画上の配慮,使用滑走路とその使用方向の規制,空港周辺における土地利用規制や空港周辺の防音工事の助成等である。
  また,騒音問題は,ICAOの場でも取りあげられ,44年末にはカナダのモントリオールで航空機騒音特別会議が開かれ,我が国も積極的に参加して
 (1) 航空機騒音の表現と測定法
 (2) 航空機騒音に対する人体の受忍限度
 (3) 航空機騒音証明制度
 (4) 航空機騒音軽減運航方式の設定基準
 (5) 周辺土地利用計画
 (6) 地上試運転騒音低減方法
 について討議がなされた。
  このうち騒音証明については,その後数回の討議を経て,第16附属書「航空機騒音」の中にまとめられた。この制度は,航空機の重量ごとに一定の騒音基準( 〔III−23表〕参照)を定め,この制度の適用を受ける航空機について基準に合致しなければ運行の用に供することができないというものであり,米,英,仏においては既に国内法制化されている。

  我が国においても,この制度は「騒音基準適合証明」として航空法改正案の中に採り入れられ,第71国会に提出したが継続審査となつた。ここで定められている基準レベルは,おおむね現用の大型ジエツト機の発生する騒音より10〜15ホン低いもので,今後新しく製造される航空機はすべてこの制度の適用を受け,騒音の小さいものとなる。この基準のレベルは恒久的なものではなく,技術開発に応じ順次改訂される。
  また,現在就航している在来型ジエツト機のエンジンを低騒音化するための改修,いわゆるリトロフイツトについては,その技術的可能性,経済性の研究が各国で続けられており,ICAOにおいても順次その報告が出されているところであり,我が国におけるその実施についてもそう遠いことではないと考えられる。


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