3 航空法制の改正


(1) 「航空法」の一部改正

  最近,我が国においても,航空機の大型化及び高速化が急激に進み,かつ,航空交通量も著しく増大している。このような状況下において,46年7月の全日空機と自衛隊機の衝突事故に引き続き,昨年の日航機による一連の事故が発生したことにより,航空の安全性の確保が大きな社会問題となつてきている。
  一方,「航空法」は昭和35年の改正以来本格的改正が行われておらず,近年の情勢変化に即応した航空安全対策を実施するためには法制上不備な点が少なくない。そこで,1昨年の全日空機事故を契機として,民間の学識経験者を含む航空法制改正検討委員会を設置して航空法制について検討を進め,その結論の趣旨にしたがつて航空法改正案をとりまとめ,昨年の第68通常国会に引き続き,第71特別国会に再提出したが,継続審議となつた。
  改正案の主な内容は次のとおりである。
  航空交通管制が行われる空域における運航規制の強化,航空機の操縦者の見張り義務の明確化等運航方法に関する規制を強化するとともに,安全運航に必要な装備品の装備義務を強化し,また,自衛隊の使用する航空機についてもこのような規制に加えて従来適用されなかつた「運航に関する規定」を適用させるなどして,航空事故の防止をはかることとしている。
  更に,最近の飛行場周辺における航空機騒音問題に対処するため,国際民間航空条約の趣旨にしたがつて,航空機騒音規制を目的とする騒音基準適合証明制度を新設している。

(2) 「航空事故調査委員会設置法」

  従来,大規模な航空事故が発生した場合には,その都度専門家を集めて調査団を編成して原因調査を行つてきたが,このような事故調査体制では,適確かつ迅速な原因究明が行えないきらいがあつた。そこで,公正かつ強力な事故調査体制の確立を期するため,運輸省に常設の航空事故調査委員会を設置し,もつて航空事故の防止に寄与することを目的とする航空事故調査委員会設置法案を第68通常国会に提出したが,成立に至らず第71特別国会に再提出し,9月19日成立した。


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