4 我が国の国際観光政策
観光政策審議会が48年8月末に「国際観光の意義及び政策の方向」と題する答申を行つたが,その中で述べられているように,最近の国際観光をとりまく状況は,(1)我が国の経済規模の急速な拡大に伴つて,我が国の国際社会に与える影響力が強まり,世界諸国と国際観光等の国際交流を通じた相互理解の必要性が増大していること。(2)外貨獲得に重点をおくという従来からの国際観光振興策について見直しを迫られるにいたつていること。(3)一連の海外旅行の自由化措置によつて日本人の海外旅行者が激増しており,その旅行の安全の確保,旅行マナーの啓発等につき所要の施策を講ずる必要性が認識されていること。(4)我が国の発展途上国に対する国際観光の分野における協力援助を一段と強化する必要があること等により大きく変貌している。
したがつて,従来からの国際観光振興策を再検討するとともに,観光交流を通じた相互理解という国際観光本来の立場に立つて,国際観光をいつそう振興する必要が生じている。
世界の主要観光国においても国際観光振興のため外客誘致に力を注いでおり,政府観光機関の年間予算及び海外事務所数についてみた場合,我が国としても一層の拡充が痛感されるところである。例えば,年間予算(47年4月現在)については,アイルランドが1,927万ドルで第1位となり,以下,カナダ(1,610万ドル),ベネズエラ(1,550万ドル),インド(1,140万ドル),ギリシヤ(1,091万ドル),英国(1,056万ドル)等で我が国(国際観光振興会)は425万ドルで20位となつている。また,海外事務所数(48年8月現在)についてみても,1位のフランス(29),以下スペイン(28),イタリア(26),カナダ(22),英国(21)などの順で,日本は(15+1分室)で12位となつており,海外宣伝網の強化が必要である。
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