1 雇用の動向


  昭和48年の労働人口は5,299万人で,過去5か年間に4.7%増加したが,労働力の需給関係は依然として求人超過の状態を続けている。すなわち,48年の一般労働者の有効求人倍率は1.76倍となり,特に高学歴化に伴う新規中・高卒者の求人難は深刻で,その求人倍率は中学卒5.8倍,高校卒3.1倍であった。
  最近の雇用の動きをみると 〔2−2−11図〕のとおりであり,常用雇用者数は全体的に,ここ2,3年微増傾向にあるが,運輸・通信業は46年をピークに減少傾向を続けている。また,労働力需要の実態をみると 〔2−2−12表〕のとおりであり,「一般労働者」についてその求人理由をみると,全産業では「業務増に伴う増員」が「離職者の補充」よりも多くなっているが,運輸・通信業では「離職者の補充」のための求人がはるかに多くなっている。

  48年における運輸業の労働異動状況は 〔2−2−13図〕に示すとおりであり,全産業は入職超過となっているのに対し,運輸業においては各業種とも離職超過となっている。
  また,業種別平均年齢,平均勤続年数及び労働時間数は 〔2−2−14表〕のとおりであり,運輸業における所定外労働時間についてみると,総労働時間に対する割合は,国鉄を除き全産業,製造業いずれの場合のそれよりも高く,特に道路貨物運送業の場合は19.0%と非常に高くなっている。

  次に,運輸業において今後特に不足が見込まれる職種及び従業員確保の将来見通しについて,運輸経済研究センターの調査(昭和46年11月実施)によってみると,不足が見込まれる職種については,運転手,荷役作業員が特に不足することを見込んでいる。また,従業員確保の将来見通しについては, 〔2−2−15表〕のとおり,過半数の62.6%の事業所が「若干不足」あるいは「大いに不足」の見通しを立てており,将来にあまり明るい予想を立てていない。

  労働者の年齢別構成をみると 〔2−2−16図〕のとおりで,全産業はおおむねピラミッド型を呈しているのに,運輸業はビヤダル型を呈し,中高年齢層が多く,若年労働者が少ないことがわかる。

  今後必要な労働力を確保するため,省力化とともに,職業訓練制度の拡充,労働環境の改善による職場の魅力の増大,相互融通の促進等を図っていく必要があろう。


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