第4節 公共輸送機関の確保


  近年,マイカーを中心とする私的交通手段の発達は著しいものがあるが,公共輸送機関が国民生活の維持向上に果たしている役割は依然として極めて大きいものがあり,限りある交通空間の有効利用,大気汚染等交通公害の減少,資源・エネルギーの節約等の観点からも,公共輸送機関の重要性はますます高まっている。
  ところが,これまで述べたように,公共輸送機関とりわけ陸上輸送機関を取り巻く諸問題は,その使命である安全,快適,正確な輸送サービスの確保はもとより,地域によっては国民の最低限の足の確保すら困難にし,国民生活の上に暗影を投げかけようとしている。
  健全な公共交通機関の確保は,その病因に応じて,多角的見地から検討される必要があるが,根本的には,人口,社会経済活動の極端な都市集中の排除,地域諸機能の適正配置等,需要構造そのものの変革を含む抜本的な対策が講じられる必要がある。
  しかし,これらの実現には長期間を要するものであり,差し迫っている諸問題を鑑みれば,これらの推進に努力しつつ,各輸送機関における企業の合理化努力,公共輸送機関の利用促進,運賃・料金の適正化,国等の助成措置等可能なものから実施し公共輸送機関の確保を図っていくことが急務となっている。


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