2 民間事業者による施設整備


  民間事業者による48年度の設備投資実績は,全産業では11兆7,082億円(工事ベース)で前年度に比べ27.6%の大幅な増加を示した。
  しかしながら,運輸事業の48年度設備投資実績は,1兆1,164億円で前年度に比べ,9.0%の伸びにとどまり,資材の値上り等を考慮すると実質的には前年度水準を大幅に下回った。
  運輸関係の民間設備投資は,主として稼働施設が中心であり環境問題,土地取得難等の外的制約条件は比較的少ないが,民営鉄道業,自動車道事業等では公共事業と同様な問題がある。
  設備投資額の前年度比が目立って増加した業種についてみると,自動車ターミナル業が大都市及び地方中核都市周辺のトラックターミナル建設を中心として3.7倍,航空関連施設業が東京国際空港,大村空港等の関連施設を中心として2.6倍の設備投資を行った。
  また,主な業種の設備投資の動向は次のとおりである。

(1) 海運業では,外航で2,623億円(前年度比21.9%減)内航で,1,072億円(同3.6%減)の投資を行った。

  外航における投資の減少は,北米諸航路及び欧州航路のコンテナ化の一段落,船員費の増大等による国際競争力の低下,鉄鋼生産の自主調整等を反映して新船建造を手控えたものであり,内航における投資の減少は,前年度投資額の高かった自動車航送船が20.9%減少したことが大きく影響している。

(2) 民営鉄道業では,大都市交通対策として新線建設,複線化の推進等輸送力の増強,安全確保のための諸施設を中心として2,234億円の投資を行った。

  主な項目別投資額は,線路設備667億円,土地354億円,車両323億円,(前年度比10.1%増,41.9%増,13.4%増)等となっている。

(3) 航空運送業では,輸送需要の増大に対処するためB-747,L-1011,DC-10等大型機の導入を中心として1,370億円の投資を行った。

  主な項目別投資額は,航空機及び部品1,145億円,地上施設224億円(前年度比55.1%増,17.4%増)等となっている。


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