1　交通事故の現状

(1)　道路交通事故

　　昭和48年に発生した道路交通事故は,58万6,713件であり,これらの事故により1万4,574人が死亡し,78万9,948人が負傷した。これを前年と比較すると発生件数は11.0%,死者は8.4%,負傷者は11.2%,それぞれ減少しており,46年以来3年連続して減少した。
　　特に,死者と負傷者の減少数は記録的なものとなり,死者については史上2番目,負傷者については史上最高の減少数となった。
　　事故の発生状況を地域別にみると,人口密度が高く,かつ経済活動の中心であり自動車交通量の多い大都市及びその周辺都市において多発している。しかしながら,これらの地域における事故件数は,絶対数は多いが,人口当たりの事故率をみれば,地方中小都市に高い事故率を示すものがかなりみられる。
　　また,事故の発生状況を類型別にみると車両相互の事故は40万5,433件で全事故の69.1%も占めており,次いで人対車両の事故は13万8,477件で23.6%,車両単独の事故は4万1,557件で7.1%となっている。これを前年と比較すると車両相互の事故は9.9%,人対車両の事故は12.5%,車両単独の事故は11.4%それぞれ減少している。
　　死亡事故の類型を人対自動車等,自転車対自動車等のいわゆる「走る凶器」型の事故と自動車等相互及び自動車等単独のいわゆる「走る棺桶」型の事故とに分け,それぞれの発生状況をみると,「走る凶器」型の事故が全死亡事故の48.6%,「走る棺桶」型の事故が47.1%とほぼ同比率となっている。

(2)　鉄軌道事故

　　48年度における運転事故の発生件数は,5,116件であり,3,575人が死傷している。これを前年度に比較すると件数は6.4%,死傷者数は27.8%それぞれ減少している。
　　48年度に起こった重大事故としては,同年12月の関西本線平野駅構内における列車脱線事故(死傷者159人)等がある。
　　また,踏切事故の発生件数は2,628件,死傷者数は2,035人であり,前年度と比較すると発生件数は6.1%,死傷者数は10%それぞれ減少した。

(3)　海難

　　48年に海難のため救助を必要とした船舶(要救助船舶)は2,615隻,約152万総トンであり,このために361人が死亡・行方不明となり約200億円の財産が失われた。
　　要救助船舶の海難を種類別にみると,機関故障が543隻と最も多く,次いで乗揚げ500隻,衝突432隻,浸水297隻の順となっており,37年以降毎年最も発生隻数の多かった乗揚げと機関故障の順位が入れ替わった。
　　また,海難を発生海域別にみると,港内で798隻,港内を除く距岸3海里未満の沿岸海域で992隻発生しており,いずれも前年よりは減少しているが,両者を合わせると1,790隻に達し海難全体の68.5%を占めている。

(4)　航空事故

　　48年に国内で発生した民間航空機の事故は45件であり,24名の死者と14名の負傷者を出した。
　　航空事故内容を運航形態別にみると, 〔２−４−２表〕のとおりである。