1 国鉄ローカル線対策


  国鉄ローカル線については,自動車輸送の発達により,その輸送需要は旅客,貨物とも減少しており,加えて,国鉄が全国一律運賃を採用していることもあって,これら線区の収支は著しく悪化している。昭和47年度において地方交通線(186線,約1万1,200キロ)は,全線すべて赤字であり,その収支の合計は,収入782億円に対し,経費は2,610億円で,1,828億円の営業損失を計上しており,その収支系数(収入100に対する経費)は333となっている。
  これら国鉄ローカル線は,その赤字が国鉄財政悪化の一因となっているばかりでなく,輸送密度からみて大量輸送機関としての鉄道の特性を既に発揮し得なくなっている線区も多く,国民経済的にみても,自動車輸送に転換する方がより効率的であると考えられる線区が少なくない。
  このため,国鉄では,国鉄諮問委員会の意見書(43年9月)に示された83線区2,600キロを中心に,廃止について地元との話し合いを行い,その了解を得,かつ,代替バス輸送について十分の措置をとったうえ,49年6月までに,29線区,208キロの廃止を行ってきた。
  今後も,国鉄財政再建計画を推進するために,当該地域の実情,代替交通機関の状況等を考慮のうえ,従来どおり地元の了解を得て,これを進めていくこととしている。


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