|
5 近海船
我が国を中心として近海区域に就航するいわゆる近海海運は,外航海運輸送全体に対し,輸出で約4割,輸入で約1.5割を占めている。近海海運の輸送品目の主なものは,輸出では,鋼材,肥料,セメント,雑貨等で,輸入では石油類のほか木材,鉄鉱石,石炭等が多く,特にインドネシア,マレーシア,フィリピンからの木材の輸入量(石油類を除く一般貨物の過半数)が多いことが特徴的であり,これが近海海運市場の特異な構造をもたらす原因となっている。すなわち,このような近海海運の大宗貨物である木材の輸入量は我が国の景気動向,木材市況等により,しばしば大きな増減を示すため船腹の需給の不均衡の問題が起こりやすく,また,近海海運市場の輸送秩序がしばしば混乱することがある。
一方,船腹供給面では,半数以上が3,000総トン未満という小型船型であり,近年の我が国の船員費の上昇により,域内諸外国海運に比して著しく競争力が低下するに至っている。近海貨物船については,我が国海運会社による運賃協定と船腹調整が行われているが,現に邦船社の積取シェアは低下の傾向にある。
45年後半以来の景気後退及び木材輸入の伸び悩みにより生じた近海貨物船船腹の過剰問題については,46年10月から47年10月の業界による係船に加えて,48年度には社団法人日本近海海運協会による解撤が行われたが,政府においても,これをバックアップする措置として,48年度において船舶整備公団による解撤資金の融資(約10億円)を行うとともに,一時的に近海一般貨物船の建造を中止する措置を講じた。これらの不況対策の実施と,48年に入ってからの輸入量の急速な立ち直りによって,船腹過剰問題は一応解消することができた。
|