2 日本の国際航空輸送状況
48年度の我が国の国際航空輸送実績は 〔III−1表〕のとおりである。国際航空輸送量のバロメーターである有償トンキロの増加率は,前年度の増加率24.2%よりやや低下し18.2%であった。
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次に,輸送力についてみると,飛行時間,飛行距離は,前年度とほぼ同じであったが,北回り欧州線のジャンボ化を進めたため,有効トンキロは9.8%増加した。また,重量利用率は,47年度に比べて4.3ポイント上昇し59.9%となった。
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48年度の日本航空(株)の国際線旅客輸送量は,旅客人員258万人,旅客人キロ123億6,700万人キロであり,前年度に比べ,それぞれ13.0%増,16.7%増であった 〔III−1表〕。旅客人キロにおいて,前年度の増加率32.1%を大きく下回ったのは,便数面の制約及び太平洋線をはじめとする長距離路線で既に大型化が相当すすんでしまっているため,48年度中に大型化した他社に旅客が流れ,積取比率が低下したこと等に起因するものと思われる。また,旅客座席キロは以上のような事情により前年度に比べ8.7%増にとどまった。このため座席利用率は,47年度より4.2ポイント上昇して61.6%となった。
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次に,48年度の我が国出入旅客について日本航空(株)の積取比率をみるとIII-4表〕のとおりであり,日本人旅客,外国人旅客とも前年度に比べて低下した。とりわけ太平洋線における日本人旅客の積取比率の低下が著しいが,これは日本航空(株)の便数比の低下(4.3ポイント)もさることながら,前述したような日本航空(株)の機材大型化が既に相当進んでしまっていることによる旅客の外国航空会社への転移が大きく影響しているものと思われる。一方,北回り欧州線では,大型機運航回数の増加により日本人旅客,外国人旅客双方とも日本航空(株)の積取比率が上昇した。
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48年度の日本航空(株)の国際線貨物輸送量は,重量,トンキロとも増加率(各々22.9%,22.3%)で前年度(各々14.6%,13.9%)をかなり上回った 〔III−1表〕。また,日本出入航空貨物量も 〔III−5表〕のとおり,前年度に比べ26.1%伸びて,47年度の増加率12.5%をかなり上回った。これらは,46年度に,米国西海岸の港湾ストの影響により貨物が航空へ大幅に転移したという特殊事情のため,47年度が増加率としては,比較的低い水準にとどまったこと及び48年12月までの国内景気の好況による内需の増加が輸入貨物の大幅な増加(53.3%)をもたらしたこと等によるものと思われる。
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以上のような航空貨物輸送需要の増加傾向のなかで特に最近著しいのは,貨物チャーター便の増加である。最近の日本航空(株)の貨物チャーター便実施状況は 〔III−6表〕に示すとおりである。46年度の米国西海岸の港湾ストを契機として,高速かつ安全で,定期航空貨物運賃より低い水準の運賃で運送することができる航空貨物チャーター輸送のメリットが大いに認識されるところとなり,46年度の爆発的増加からは若干低下傾向にあるものの,依然利用度の高いものとなっている。
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48年度における我が国の航空関係国際収支は 〔III−7表〕のとおり3億3,600万ドルの赤字となった。これを項目別にみると,旅客運賃支払額が激増していることが注目される。これは,日本人の海外旅行者が激増している一方で,前述のように日本航空(株)の積取比率が低下したことによるものであり,全体としては,赤字幅は前年度より大幅に増加した。
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