1 道路交通の安全対策
道路交通は,鉄道交通と同様,国民一人一人の生活と極めて密接な関係があるうえ,事故死者数は着実に減少しているとはいえ,他の交通機関と比較し,なお多くを数えている。
従って,その安全確保については万全を期し事故の撲滅を図るため一層の努力が必要である。
このため,運輸省としては関係各省と緊密な連携を保ちつつ安全対策に力を注いでいる。運輸省が道路交通の安全対策として講じた施策の主な内容は次のとおりである。
まず,自動車運送事業者に対する監査等を通じて,適正な運行の確保,乗務員の教育訓練等,運行管理体制の充実強化を図るほか,車両の安全性を確保するため,運輸技術審議会の答申に沿った道路運送車両法に基づく保安基準の改正を行ってきており,49年11月には補助前照燈の改善等に関する改正を行った。更に,実験安全車等の技術開発結果を参考とした将来の安全基準の検討を行った。
また,自動車の保有台数の増加に対応し,その検査を円滑かつ適正に実施するため,自動車検査施設の整備と検査要員の増員等検査登録体制の充実強化等を図った。
このほか,自動車事故対策センターに対して,運行管理者に対する指導講習,運転者に対する適性診断,自動車事故被害者への生活資金の貸付の充実等に必要な助成を行う等49年度は総額15億5,800万円を支出し,事故の防止と被害者の救済対策にも力を注いでいる。なお,自動車事故対策センターは49年度までに37支所を開設し,50年度に13支所を開設して,50支所の設置を完了することとしている。
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